日本による韓国のホワイト国優遇の除外
輸出貿易管理令別表第3の国から大韓民国を削除するための政令改正が、公示から21日を経て施工されます。
理由は「国際的な平和及び安全の維持のため、大韓民国を仕向地とする貨物の輸出について仮に陸揚げした貨物に係る輸出の許可の特例を廃止する等の必要があるからである。」(輸出貿易管理令の一部を改正する政令が閣議決定されました 経済産業省)とされています。
これに対し、韓国政府は7月の発表直後から日本のこの行動を安全保障のためではなく旧朝鮮半島出身労働者問題に関する一連の韓国の対応に対する経済報復であると決めつけて大反発。歩み寄ることなく今日を迎えました。
昨年末からの韓国の対日行為
そもそも韓国が日本に行っている行為は、旧朝鮮半島出身労働者問題や貿易に関する不備だけではありません。下記は今年2019年に発生、または事態の進んだ韓国政府の対日問題行為一覧です。
- 旧朝鮮半島出身労働者問題発端の韓国政府による日韓請求権並びに経済協力協定違反問題(2005年発生)
- 日韓請求権並びに経済協力協定2条に反し、「請求権問題が完全かつ最終的に解決されたこと」を覆す司法判決を下し、一方的に「条約法に関するウィーン条約3条」に抵触する判断を下す。(2012年発生、2018年10月確定)
- 日韓請求権並びに経済協力協定3条の1に基づく「外交上の経路を通じて解決する」日本政府の要請を無視(1月9日~5月19日)
- 日韓請求権並びに経済協力協定3条の2に基づく「両国の仲裁委員選出」日本政府の要請を無視(5月20日~6月18日)
- 日韓請求権並びに経済協力協定3条の3に基づく「仲裁委員指名第三国選出」日本政府の要請を無視(6月19日~7月18日)
- 慰安婦問題日韓合意違反(2016年12月違反発生継続)
- 「和解・癒やし財団」の解散を発表(2018年12月)
- 「和解・癒やし財団」の解散手続き完了(6月17日付)
- 日本が拠出した10億円のうち5億円余りが残余金として残る。
対象になった元慰安婦47人と遺族199人のうち、元慰安婦36人と遺族71人が受給を希望したが、受給希望者のうち、元慰安婦2人と遺族13人はまだ支給されていない。 - 日本海火器管制レーダー照射問題(2018年12月発生継続)
- 日本海にて韓国海軍が日本の哨戒機に対して火器管制レーダー(射撃管制用レーダー)を照射。CUES(洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準)違反。
- 韓国政府は当初、北朝鮮の遭難船に対する救助作戦を悪天候の中行っており船舶を探すため全レーダーを使用していたためと説明。日本の映像公開で悪天候でもなく北朝鮮船舶補足済みの状況だったということが明らかになったのち、日本の哨戒機が低高度で進入し威嚇飛行をしたと主張を変えた。
- ホワイト国認定時の定期的な戦略物資会議の無視(2018年に開催予定を拒否)
- 通常2年に1度開催のところ呼び掛けても拒否されていた。(2018年)
- 韓国政府、2018年6月に戦略物資会議が開かれなかったのは当時日本側の担当局長が空席だったからという虚偽の説明をし、覆されると勘違いだったと撤回。(7月9日)
- 韓国政府は兵器関連物資の密輸摘発件数だけで万全性を主張。日本政府は輸出管理体制の崩れを指摘しており、韓国政府はその点の説明が不足。
- 再発防止対策が取られている形跡がない。
- 2019年1月になぜか韓国から日本にエッチングガスの輸出記録。5月にも追加の輸出記録。過去10年はなかったこと。
- 日本の輸入統計では0.12tだが、韓国の輸出は39.65tのため、大半が行方不明なことが韓国国会予算委員会で発覚。(7月12日)
- 日本は韓国の「ホワイト国待遇」を解除決定。この件に関する韓国による第三者を巻き込む外交戦略(予告含む)
※は日本も参加する場 - アメリカ(7月10日以降多数)
- WTO物品貿易理事会理事会(7月9日)※
- WTO一般理事会(7月24日)※
- 日米韓3国議員会議(7月26日)※
- 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉会合(7月27日)※
- ASEAN地域安保フォーラムASEAN+3(日中韓)外相会議(8月2日)※
- 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)中間閣僚会合(8月2日)※
- 外交部高官をG7参加国及びEU本部へ派遣。24日がG7開催のため(8月13日から順次)
- 中韓外相会談(8月20日)
- 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉会合(8月24日)※
- 国連総会(9月予定)※ただし、提唱者は政府関係者ではなく与党議員
- この件に関する日韓二国間の説明会と会談
- 貿易関連課長級会合における説明会(7月12日)
- 日韓外相会談(8月1日)
- 日韓外相会談(8月21日)
- 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉会合内で2国間会議
- 韓国の言い分は「ホワイト国待遇の解除」は不当なので撤回しろという一方的な要求であり、信頼回復の行動を伴ったり、解除撤回の要請だったりではない。思い通りの回答がないと「欠礼である」と非難しだすことも共通。信頼関係をさらに低下させる結果となっている。
- 韓国による日本産水産物等の輸入規制において入規制措置を強化する際に求められる周知義務等を果たしていなかったとしてWTO協定違反が確定(4月26日)
- ただし、韓国による日本産水産物等の輸入規制自体は1審が破棄されWTO上級委員会で認められた。(4月11日)
- 日本産食品の科学的安全性は1審通り認められている。
- 竹島周辺に侵入したロシア偵察機に対し、韓国の戦闘機が360発の威嚇射撃を行った。(7月23日)
- 日本の領空での軍事的行為。ロシア機の侵入は2回あり、1回目は信号弾を10発、機関銃を80発発射、2回目は信号弾を10発、機関銃を280発発射したとする韓国側の発表。
- ロシアからは韓国機からはなんの警告通信を受け取ってなく、警告射撃やフレアでの警告というものは関知していないと発表されている。
- 竹島周辺で軍事訓練(8月25日~26日)
- 在韓国日本国大使館付近で車両を炎上させる事案。外交に関するウィーン条約第22条第2項に抵触。(7月19日)
- 在釜山日本国総領事館敷地内にてデモ行為。外交に関するウィーン条約第22条第2項に抵触。(7月22日)
- 対日輸入品の放射能検査強化(8月)
- 建前は国民の健康を守るため。
- 日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)破棄を韓国から通告、11月に終了へ(8月22日)
箇条書きでこれほどになる行為を日本に仕掛けています。日本は粘り強くごちゃまぜにせずそのほとんどは抗議と対話の呼びかけですが、個別対応しています。
そして、今回の韓国の貿易における定期的な戦略物資会議の無視で初めて実務的な対応に出たという流れです。しかし、韓国はこれを安全保障の次元に飛び火させ脅迫に近い形で撤回を要求。韓国式の外交で囲い込みキャンペーンを開始します。
- 瀬戸際外交・・・撤回しないと別の条約を破ると脅迫。破った後は撤回したら結びなおしてやると譲歩するかのように偽り迫る
- 虎の威を借る外交・・・アメリカ、中国など強い国を味方につけ撤回を迫る
- ウソツキ外交・・・真実の中に一部ウソを織り交ぜる、または不都合な事実だけ伏せて正当性を主張する
- 告げ口外交・・・自分に正当性があると争いとは関係のない第三国に主張し、外堀を埋めてくる。
新宿会計士さんの分類を参考にしました。新宿会計士さんのところでは瀬戸際外交、コウモリ外交、ウソツキ外交、告げ口外交の4分類ですが、コウモリ外交というと「見解や利害が対立している国のどちらに対してもいい顔をし、おもねる、あるいは度々寝返るような態度」とあるので少し違うかと思い「虎の威を借る外交」としています。どちらにせよ地力で廃決するのではなく、他者の力を都合よく使う他力本願外交を展開し圧力をかけてくるという手法で今回もやってきました。
結果、日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)破棄を行い、国内のスキャンダル、アメリカとの対立にまで発展したというのが簡単な今日までの流れということになるでしょう。
ムンジェイン大統領の現状把握能力は無きに等しく。正直計算して「他力本願米韓同盟破棄」を狙っているような切れ者には思えません。結果「他力本願米韓同盟破棄」が目前にまで迫っているように感じます。GSOMIA破棄は至る流れも理由もお粗末で裏があるようには思えません。
明日、何が起こるか
韓国政府は今日も日本に瀬戸際外交を行うと共に、対策会議を行っていたようです。
しかし、ムンジェイン大統領が支持率を維持するためにGSOMIA破棄までして反日強硬を行ったにもかかわらず、側近スキャンダルの矛先を逸らすことはできなかったようです。
瀬戸際外交とスキャンダルから目をそらすために行ったGSOMIA破棄のアメリカへの弁明も支離滅裂で、喋れば喋るほど亀裂が広がろうとしています。
この状況下で明日を迎えるわけで、これまでのムンジェイン大統領の傾向からするとまたなにか大変な選択肢を選んでしまうような気がしてなりません。明日、注目しています。
ここ最近の流れ
随時追加しています。
日時 | 事柄 |
---|---|
8月19日 | 韓国外交部、在韓公使に福島原発事故汚染水処理めぐり説明を要求。この問題に日韓両国で取り組むことを提案。 韓国ムン・ヒサン国会議長の特使として来日したパク・チウォン無所属議員が自民党二階幹事長らと非公開会合。 金杉アジア大洋州局長、ビーガン米国北朝鮮担当特別代表と意見交換。 デビッド・バーガー米海兵隊総司令官、河野太郎外務大臣を表敬訪問。 |
8月20日 | 韓米合同軍事演習終了 2020年東京五輪の準備状況を各国・地域の国内オリンピック委員会(NOC)の代表に説明する選手団長セミナーにて、韓国代表団が福島食材に関して誹謗中傷。他国代表にも賛同を求め扇動したが効果はなかった模様。 |
8月21日 | 日中韓外相会談 日韓外相会談 韓国食品医薬品安全庁、8月23日から日本産の一部食品に対する放射性物質検査の回数を2倍にすると発表。 |
8月22日 | 韓国政府、日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)破棄を発表。 韓国政府の外交努力に日本が答えなかったことが主原因であると表明 日本政府、ナム・グァンピョ駐日韓国大使を呼び出し抗議 アメリカポンペオ国務長官、カナダでの記者会見で失望したと述べる アメリカ国防総省イーストバーン報道官、「強い懸念と失望」の声明 米国務省、「ムン・ジェイン政権に対し、GSOMIAの破棄を決めれば、同盟国の安全保障上の利益に悪影響を及ぼし、北東アジアの安全保障問題で文政権の大いなる思い違いを知らしめることになると繰り返し伝えてきた」と強く非難 |
8月23日 | 韓国キム・ヒョンジョン国家安保室第2次長、「アメリカが失望するのは当然だ」「この機会が韓米同盟関係をさらに一段階アップグレードできるきっかけになることが重要」と記者会見で述べる。 |
8月24日 | 北朝鮮、短距離ミサイル発射。 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉会合内で、日韓2国間会議。 |
8月25日 | 韓国軍、島根県の竹島で軍事訓練開始(~26日) アメリカ国務省のオータガス報道官、「我々は深い失望と懸念を抱いている。この判断によって韓国の防衛はより複雑になり、米軍へのリスクも高まる」とツイッターで批判。 |
8月26日 | イ・ナクヨン首相、国会予算決算特別委員会にて「日本の不当な措置が元に戻れば、わが政府もGSOMIAを再検討する方式が望ましい」と発言。 |
8月28日 | 日本政府、韓国のキャッチオール規制ホワイト国からの除外施行予定日。 |
8月 | 徴用工裁判の原告が差し押さえ中の日本企業の資産を現金化するとされている期日。 |
9月17日 | 国連総会 |
10月22日 | 天皇陛下即位礼正殿の儀 |
10月末 | 東南アジア諸国連合(ASEAN))+日中韓首脳会議 |
11月 | アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議 |