在韓米軍基地の返還を求めた韓国政府
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米軍基地の早期返還を求める発表

昨日驚いたニュースを見ました。その時は朝鮮日報の韓国語版にしか報道されているのが見つからなくてもしかしたら誤報なのかもしれないと思っていたのですが、本日日本語版にも複数の報道が掲載されたので事実なのかとびっくりした次第です。

大統領府関係者は「龍山基地の移転計画と韓米連合土地管理計画によって返還される米軍基地は計80カ所で、このうち54カ所はすでに返還されており、26カ所は(返還が)進められている」とし、「この中で特に原州や富平、東豆川など4カ所の米軍基地は、返還が遅れたことで様々な経済、社会的軋轢が生じており、これを解消するため(早期返還を進めている)」と説明した。韓米間の在韓米軍地位協定(SOFA)によると、在韓米軍基地の返還は返還開始および協議→環境協議→返還建議→返還承認→最終返還(移転)の順に行なわれる。しかし、原州など4カ所の米軍基地の移転は2段階の両国環境協議が遅延し、次の段階に移ることができずにいるという。米軍側は米軍基地の環境汚染問題がないと主張している一方、韓国側は調査を進め確認しなければならないという立場だ。

もともと龍山基地の移転計画時(2004年)に全国80カ所の米軍基地を韓国に返還することで合意していたわけですが、今このタイミングで発表する理由があるのかと…。国家安保会議常任委員会の結果の公表というだけということですが、発表するタイミングも政治が関わること、発表自体ににメッセージがあると思われても仕方がありません。日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)を破棄、それに対し「失望した」とコメントしたアメリカに「米韓関係を強化する上で役立たないと指摘し、自制するよう要請」という半ば「黙れ」という形で反論し、この流れで「基地早期返還」報道。

米韓同盟はもはや不要であると言わんばかりです。しかし、韓国は「破棄はしないが履行しない」外交が得意です。(日韓請求権協定も日韓慰安婦合意も破棄したつもりはあちらにはありません。)決定的な言葉を言わないことでのらりくらりやり過ごそうとしてくるかもしれません。

在韓米軍と韓国軍の略歴

1994年 ノ・テウ大統領時代に作戦統制権の韓国軍への返還要求が高まり、それを受けてキム・ヨンサム大統領時代に平時の作戦統制権が移管
2003年 未来韓米同盟政策構想会議を開き、戦時作戦統制権移管による自主防衛と在韓米軍との連携の形を模索。
2004年 龍山基地をはじめとする全国80カ所の米軍基地を韓国に返還することで合意。当初2008年に完了予定だったちう報道もある。龍山基地は2016年移転予定。
2006年 北朝鮮のミサイル発射を契機として、戦時作戦統制権の回復反対論が大勢を占め始めるも、ノ・ムヒョン大統領が強行、2015年に移管が決まる。
2014年 2015年に戦時作戦統制権も韓国軍に移管する予定だったが2020年代半ばに延期、龍山基地などの基地移転も延期。この時期の大統領はパク・クネ大統領。
2016年 アメリカの仲介により日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)締結、日米韓三国安保連携が密になる。
2017年 条件に基づく移管計画を米韓共同で保管させることが合意
2018年 龍山基地、平沢市へ移転。
在韓米軍駐留費負担特別協定(SMA)年内決裂
2019年 在韓米軍駐留費負担特別協定(SMA)大幅増額示唆される
日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)、日韓に留意を促されるも8月23日終了宣言期限前日である22日に終了宣言を行い11月に破棄が確定。日米韓三国による安保体制が崩壊。

徐々に徐々に在韓米軍は縮小しているのは間違いありません。しかしそれは米韓の合意を少しずつ進めてきた結果でした。それを今回韓国単独の会議で方針を発表したということなのだと思うのですが、前例はあるのでしょうか。それともこれもただ単にアメリカにかまってもらうためGSOMIAの代わりの交渉カード?

ムンジェイン大統領は、任期末期である2022年に戦時統制権移管を完成させたいとしている報道も以前からあります。これはもうムンジェイン大統領が腹をくくったということなのでしょうか。今後の動きが気になります。

ここ最近の流れ

随時追加しています。

日時 事柄
8月24日 北朝鮮、短距離ミサイル発射。
東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉会合内で、日韓2国間会議。
8月25日 韓国軍、島根県の竹島で軍事訓練開始(~26日)
アメリカ国務省のオータガス報道官、「我々は深い失望と懸念を抱いている。この判断によって韓国の防衛はより複雑になり、米軍へのリスクも高まる」とツイッターで批判。
トランプ大統領、G7にて韓国に不満を示したという報道あり。
外務省、韓国軍による竹島における軍事訓練に対する抗議
8月26日 韓国イ・ナクヨン首相、国会予算決算特別委員会にて「日本の不当な措置が元に戻れば、わが政府もGSOMIAを再検討する方式が望ましい」と発言。
安倍首相、G7中のインタビューで「国と国の間の信頼関係を傷つける(韓国側の)対応が続いている」と韓国側に強い不満を示す。
アメリカ国務省、初めて韓国軍の竹島周辺での軍事訓練を批判。
8月27日 韓国イ・ナクヨン首相、与党「共に民主党」幹部との会合で日本側に措置を撤回するよう改めて求める。
河野外相、1965年の日韓請求権協定に関し、「韓国が歴史を書き換えたいと考えているならば、そんなことはできないと知る必要がある」と韓国を批判。
8月28日 日本政府、韓国をキャッチオール規制グループAからグループBへ移行させる法令を施行
韓国イ・ナクヨン首相、「日本が事態をこれ以上悪化させず、韓日関係の修復に向けた対話に誠意をもって臨むことを重ねて求める」と述べる。ここまで韓国政府による貿易管理体制是正に向けた動きの情報はない。
韓国外交部チョ・セヨン第1次官、長嶺安政駐韓日本大使を呼んで厳重に抗議、不当な措置の即時撤回を再度促して両国間の対話に真摯な姿勢で臨むよう要求
韓国外交部チョ・セヨン第1次官、ハリス駐韓米大使を呼び協議。その中でGSOMIA破棄は日韓関係上のものであって、米韓同盟には関係ないと主張。また、韓国政府の今回の決定について米政府が失望と懸念を繰り返し表明したことについて、米韓関係を強化する上で役立たないと指摘し、自制するよう要請。
韓国政府、アメリカが韓国軍の竹島周辺訓練を批判したことに対し反論し批判。
エスパー米国防長官、日韓双方に失望という記者会見。
シュライバー米国防次官補、韓国から事前の通告はなかったと確認。破棄決定を取り消するよう促す。
日本経済産業省、韓国政府発表について反論、事実関係及び経済産業省の見解を発表。
8月29日 金杉憲治アジア大洋州局長、ソウルにてキム・ジョンハンアジア太平洋局長と日韓局長協議。
韓国国会、文化体育観光委員会にて東京オリンピック・パラリンピックで旭日旗を禁止する措置をIOC及び大会組織委員会に求める決議を採択。
8月30日 日中韓文化相会合。
日中韓観光相会合。
韓国国家安保会議(NSC)常任委員会、米軍基地26カ所の早期返還を推進すると発表。
8月31日 与党「共に民主党」最高委員を務めるソル・フン議員ら6議員が竹島に上陸。日本に抗議するという政治活動に利用。
9月1日 ムンジェイン大統領、東南アジア各国へ歴訪(~3日)
9月2日 日韓議員連盟の河村建夫幹事長、共に民主党カン・チャンイル会長と面会予定。イ・ナクヨン首相とも訪韓中に面会予定。
9月4日 ソウルにて国防次官級多国間安全保障会議。(~6日)
米国は代表を派遣しない計画。
9月17日 国連総会
10月22日 天皇陛下即位礼正殿の儀
10月末 東南アジア諸国連合(ASEAN))+日中韓首脳会議
11月 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議
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