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10月30日のいわゆる徴用工問題の判決から1週間が経ち、その判決文を基にした記事がちらほらと出てきました。
徴用工判決で問われる「日韓国交正常化の闇」(東洋経済online)
韓国人記者が見た元徴用工裁判(朝日新聞GLOBE+)
いわゆる徴用工裁判(その後)(BLOGOS)

いわゆる徴用工裁判(その後)(BLOGOS)」の記事で知りましたが、判決文の日本語訳もPDFで公開されています。
2018.10.30 新日鉄住金事件大法院判決(仮訳)

判決文のポイントはどこなのか

2018.10.30 新日鉄住金事件大法院判決(仮訳)に目を通してみました。
日本語訳にして49ページ、日本統治の経緯から始まり4人の原告の経緯、日韓基本条約の経緯などかなり長いです。正直、パッと見て理解することはできませんでした。そこで自分なりに要約してみます。

基本的事実関係

基本的事実関係

  • 朝鮮半島は1910年から日本が支配
  • 旧日本製鉄は1943年頃広告募集、2年間訓練を受ければ、技術を習得することができ、訓練終了後、韓半島の製鉄所で技術者として就職することができると記載されていた。
  • 戦後、在韓国日本財産は米軍政庁に帰属、その後大韓民国政府に移譲された。

その上で日韓基本条約の経緯について触れています。
このあたり事実関係の確認が必要そうですが、年表で要約。

年月日 事柄
1951年末頃 国交正常化と戦後補償問題の協議を始める。
1952年
2月15日
第1次日韓会談本会議が開かれ関連論議が本格的に開始。韓国により「韓・日間財産及び請求権協定要綱8項目」を提示。
1965年
6月22日
1965.6.22.「大韓民国と日本国間の基本関係に関する条約」と、その付属協定である「大韓民国と日本国間の財産及び請求権に関する問題の解決と経済協力に関する協定」(条約第 172 号、以下「請求権協定」という)などが締結された。

ここまでが条約締結までの流れ
そして、条約条文と続きます。

(2)請求権協定は前文で『大韓民国と日本国は、両国及び両国国民の財産と両国及び両国国民間の請求権に関する問題を解決することを希望し、両国間の経済協力を増進することを希望して次のとおり合意した』と定めた。第 1条で「日本国が大韓民国に 10 年間にわたって 3 億ドルを無償で提供し、2億ドルの借款を行うことにする」と定め、続いて第 2 条で次のとおり規定した。
1. 両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益と両締約国及びその国民間の請求権に関する問題が 1951 年 9 月 8 日にサンフランシスコ市で署名された日本国との平和条約第 4 条(a)に規定されたことを含め、完全かつ最終的に解決されたことを確認する。
2. 本条の規定は次のこと(本協定の署名日までにそれぞれの締約国が取った特別措置の対象になったものを除く)に影響を及ぼすものではない。
(a) 一方の締約国の国民として 1947 年 8 月 15 日から本協定の署名日までの間に他方の締約国に居住した事がある者の財産、権利及び利益
(b)一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益として 1945 年 8 月 15日以後においての通常の接触の過程において取得され、または他方の締約国の管轄下に入ったもの
3. 2.の規定によることを条件に、一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益として本協定の署名日に他方の締約国の管轄下にあることに対する措置と、一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権として同日付以前に発生した事由に起因することに関しては、如何なる主張もできないことにする。
(3) 請求権協定の同日に締結され 1965.12.18.発效した「大韓民国と日本国間の財産及び請求権に関する問題の解決と経済協力に関する協定に対する合意議事録(I)」[条約第 173 号、以下「請求権協定に対する合意議事録(I)」という]は、請求権協定第 2 条に関して次のとおり定めた。
(a)『財産、権利及び利益』とは法律上の根拠に基づいて財産的価値が認められる全ての種類の実体的権利をいうことで了解された。
(e)同条3.によって取られる措置は同条1.でいう両国及びその国民の財産、権利及び利益と両国及びその国民間の請求権に関する問題を解決するために取られる各国の国内措置をいうことで意見の一致を見た。
(g) 同条 1.でいう完全かつ最終的に解決されたことになる両国及びその国民の財産、権利及び利益と両国及びその国民間の請求権に関する問題には、韓日会談で韓国側から提出された『韓国の対日請求要綱』(いわゆる 8 項目)の範囲に属するすべての請求が含まれており、したがって同対日請求要綱に関しては如何なる主張もできなくなることを確認した。

この条文が日本語のものと差があるのかどうかは私にそこまでの見識はないのであとで確認するとして、続いて「請求権協定締結による両国の措置」が確認されています。

年月日 事柄
1965年
8月14日
請求権協定、韓国国会にて批准同意。
1965年
11月12日
請求権協定、日本衆議院にて批准同意。
1965年
12月11日
請求権協定、日本参議院にて批准同意。
1965年
12月18日
請求権協定、発効。
日本政府、「財産権措置法」制定。
1966年
2月19日
韓国政府、「請求権資金法」を制定。
1971年
1月19日
韓国政府、「請求権申告法」制定。ただし、「日本国によって軍人・軍属または労務者として召集または徴用され、1945.8.15.以前に死亡した者」のみを申告対象として限定。
1974年
12月21日
韓国政府、「請求権補償法」71年の法律での対象者83、519件に91 億 8、769 万 3、000 ウォンの補償金を支給。内徴用者は 8、552 件で 1 人当り 30 万ウォンずつ総 25 億6、560 万ウォンを支給。
2004年
3月5日
韓国政府、「真相糾明法」を制定。「日帝強占下強制動員被害」に対する調査を全面的に実施。
2005年
1月
韓国政府、請求権協定と関連した一部文書を公開。
2005年
8月26日
韓国・韓日会談文書公開後続対策関連民官共同委員会、「請求権協定は韓日両国間の財政的・民事的債権・債務関係を解決するためのものであり、日本政府の法的責任が残っている」という趣旨の公式意見を表明。
2006年
3月9日
韓国政府、請求権補償法に基づいた強制動員被害者に対する補償が不十分であることを認めて追加補償方針を明らかにする
2007年
12月10日
韓国政府、「2007年犠牲者支援法」制定。対象者に補償金を支給。
2010年
3月22日
韓国政府、「真相糾明法」と「2007年犠牲者支援法」廃止、「2010年犠牲者支援法」

ここまでで10ページ。これからが上告の理由に関しての大審院判断となります。

上告の理由に関して

5つの上告理由に関して判断がありました。
詳細は訳文を見てもらうとして簡単に要約します。

  1. 日本統治時代の法律は違法である。
  2. 会社が解散吸収合併しても本件請求権は有効である。
  3. 請求権協定の対象に損害賠償請求は含まれない。そもそも原告は未支給賃金や補償金を請求しているのではなく、慰謝料請求である。
  4. 長らく権利を行使することができる状況下になかったため時効は成立しない
  5. 慰謝料の算定は違法ではない。

簡単にこれらの理由で「上告をすべて棄却し、上告費用は敗訴者が負担することとし、主文の通り判決する。」としています。
3番目の部分は日韓基本条約請求権協定について考察があり、ここに日韓の認識の差がでてきそうです。
この部分はまた次回に回します。

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