在韓米軍2018年の動き
このページは、在韓米軍駐留費負担特別協定更新が怪しくなったためその動きを確認できるように2018年在韓米軍の動きを時系列に並べてみたもの。
中央日報、朝鮮日報日本語版などの韓国マスコミのアーカイブを参考にしている。
在韓米軍駐留費負担特別協定とは、1991年に韓国とアメリカ政府との間で締結された協定。この協定により米国が負担すべき在韓米軍維持費用の一部を韓国が負担することとなった。
2018年の韓国側の費用負担額は9602億ウォン(約900億円)。2014年に更新されたこの協定が2018年12月に期限を迎えるため更新する必要があるが、2018年12月8日現在更新できていない。
時系列
日時 | 事柄 |
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3月 | 第1回在韓米軍駐留費負担特別協定(SMA)更新協議。 駐留費や制度改善の方向性などに関する基本的な立場を表明。 |
4月 | 第2回在韓米軍駐留費負担特別協定(SMA)更新協議。 本格的折衝に入る。 |
4月16日 | 朝鮮半島有事を想定した在韓米軍家族らの退避訓練(~20日) |
4月27日 | 板門店にて南北首脳会談。「板門店宣言」 |
5月14日 | ワシントンにて第3回在韓米軍駐留費負担特別協定(SMA)更新協議(~15日)。 事案ごとに両国の溝を埋めることに注力。 |
6月12日 | シンガポールにて米朝首脳会談。8月予定の軍事演習を中止へ。 |
6月26日 | ソウルにて第4回在韓米軍駐留費負担特別協定(SMA)更新協議(~27日)。締結ならず。 米国、戦略兵器展開費用を要求。 |
6月29日 | 韓国平沢にある米軍のハンフリーズ基地拡張工事の竣工式。米軍の海外基地としては世界最大規模へ。 在韓米軍司令部がソウルの竜山基地からハンフリーズ基地に移転。 |
7月18日 | シアトルにて第5回在韓米軍駐留費負担特別協定(SMA)更新協議(~19日)。締結ならず。 米国、戦略兵器の展開費用分担のため、韓国側の負担金項目に「作戦費用支援」を追加するよう主張。 |
8月22日 | ソウルにて第6回在韓米軍駐留費負担特別協定(SMA)更新協議(~23日)。締結ならず。 国連軍司令部(UNC)、南北の鉄道点検に不許可。 |
9月7日 | 米朝、板門店で将官級会談。 |
9月19日 | ワシントンにて第7回在韓米軍駐留費負担特別協定(SMA)更新協議(~20日)。締結ならず。 |
10月1日 | 南北、国連軍司令部の許可を受け軍事境界線がある板門店の共同警備区域(JSA)と韓国北部の江原道・鉄原の非武装地帯(DMZ)内で地雷の撤去を始める。(~20日) |
10月16日 | ソウルにて第8回在韓米軍駐留費負担特別協定(SMA)更新協議(~19日)。締結ならず。 韓米両国は協定発効のための諸般の国内手続きを年内に完了するのが難しいとの認識で一致。 協定の空白期間を最小化するために11月中に最終文案を妥結することを目標。 米軍戦略兵器の朝鮮半島展開費用の分担要求をはじめとして、分担金の総額と有効期間・年増加率などをめぐって対立した模様。 |
10月25日 | ワシントンにて軍事委員会(MCM)。 有事作戦統制権の「条件に基づく移管」の早期推進と、盤石な連合防衛態勢の発展策について協議。 |
10月30日 | 米、南北、3者協議体会議。 板門店の共同警備区域(JSA)の非武装化共同検証の結果評価。 |
10月31日 | ワシントンにて50回米韓安保協議会議(SCM)。 来年から韓国軍主導の連合作戦遂行能力を検証することが確認される。 有事作戦統制権移管後も在韓米軍と連合軍司令部を維持することを合意。 12月の合同空中演習を中止。 |
11月7日 | マーク・ミニー在韓米軍参謀長の名義でチェウンシク韓国人労組委員長に「防衛分担金交渉が妥結されない場合、2019年4月15日に一部無給休職の発生が避けられないになるだろう」という内容が含まれている文書が送付される。 |
11月8日 | ビンセント・ブルックス在韓米軍司令官が離任、ロバート・エイブラムス米韓連合司令官兼在韓米軍司令官(陸軍大将)の就任式が平沢米軍基地キャンプ・ハンフリーで行われる。 |
11月13日 | ハワイ州ホノルルにて第9回在韓米軍駐留費負担特別協定(SMA)更新協議(~16日)。締結ならず。 |
11月15日 | 韓国大手企業3社が、在韓米軍に納入する燃料の価格で談合。 |
11月15日 | 龍山米軍基地返還に伴いソウルのアメリカンスクールの閉鎖を発表。 ハンフリーズ基地のある平沢に移転ではなく閉鎖。 |
11月20日 | 韓国外相と在韓米軍連合司令官が会談。 |
11月21日 | 米政府、来年春の米韓合同演習縮小を発表。 |
11月26日 | 米太平洋空軍司令官、韓国政府の要請を受け、朝鮮半島上空における爆撃機の飛行を中止したことをを発表。 |
12月1日 | G20で米韓首脳会談、在韓米軍駐留費負担特別協定(SMA)に関してトランプ大統領が苦言。 韓国が防衛費を100%負担すべきと主張。 |
12月6日 | 米韓外相会談、在韓米軍駐留費負担特別協定(SMA)に関しても話し合われる。 |
12月11日 | ソウルにて第10回在韓米軍駐留費負担特別協定(SMA)更新協議(~13日)。 |
12月31日 | 在韓米軍駐留費負担特別協定(SMA)更新期限。 |
更新できるかどうか
アメリカが戦略兵器の展開費用分担のため、韓国側の負担金項目に「作戦費用支援」を追加するよう主張したせいで金額が大幅に増加したため難航しているといわれている。その他、ムンジェイン大統領が米韓同盟破棄をアメリカからしてくることを目的に動いているという指摘もある。その話が正しいとなると更新は行われないと思われる。
しかし、米韓同盟の破棄は安保上の不安が大きいこと、10月の米韓安保協議会議(SCM)で2022年に有事作戦統制権移管の話もあり未来に向けた計画があることから短絡的な上に他力本願な破棄は現実的ではないと思う。
交渉締結後批准に2か月ほどかかるため、すでに1月の空白期間が決まっている。できるだけ空白期間が短くなるよう12月の締結を目指すようだが、妥協点が見いだせなかった場合米韓同盟に影響が出かねない。